shu ha ri 竹内琢真
苦楽を共にした剣道着
剣道着は単なる運動着ではなく、武士の正装としての側面を持つ。しかし使用に伴い、藍染の色落ちや擦れにより、武士の正装としては“みすぼらしいもの”と見なされ、着古した剣道着は大会や段審査などの正式な場で着用できなくなる。その一方で、所有者にとっては、苦楽を共にした剣道着には強い愛着があり、処分する機会を失っているという現状がある。着古した剣道着は、経年変化が“努力の跡”として現れているテキスタイル素材として、魅力をもつと考える。
形と機能を変えて剣道着に愛着を持ち続ける
剣道着は相手の打突から身体を守るために丈夫な生地が採用されている。使用者の愛着が強い着古した剣道着を活用し、長期的に使用するためのアップサイクル製品シリーズを制作する。剣道着とは異なる製品機能を持つアイテムとして、伝統ある剣道文化を反映した帽子シリーズの制作を行う。所有者から回収した剣道着固有の特徴を活かしつつ帽子に作り替え、再び所有者に戻す。剣道着への愛着を大切にしながら、新たな剣道着と所有者のストーリーを作り出す。
Material:
剣道着(綿) 他
Dimensions:
cloche W260×L275×H180
flight W260×L260×H160
hunting W195×L280×H100 (mm)